妊娠前に行うべき検査・検診「ブライダルチェック」とはどんなもの?

不安を消し去っておくためにできること

医療の発達が目覚ましい現代であっても、私たちは誰しも、さまざまな病の可能性やリスクと隣り合わせの状態にいます。

近年は、女性が仕事を持つことが当たり前になり、それに伴って晩婚化、そして高齢出産の割合が増えています。出産に際しての医療体制はかなり整っていますから、高齢出産も可能になりつつあるわけです。

ただし、出産に至るまでの間、私たちには常にさまざまな不安が付いて回ります。

そもそも、自分の体は健康で、元気な赤ちゃんを産めるのかどうか? 妊活中に、特に気をつけておくべきことがあるのかどうか? 妊娠期から出産までの間も、病気にかからず過ごせるのかどうか?

こんな不安に悩まされ続けていると、それだけでも大きなストレスとなってしまいかねません。まずは、ゆくゆく妊娠を考えている夫婦の間で、そのような不安を少しでも減らしておくために、早い段階からできることを行っておくとよいでしょう。

この記事では、夫婦で向き合うべき「赤ちゃんを迎えるための体のチェック」について、病気にまつわる詳しい情報検査・検診の内容を、掘り下げてご紹介していきます。

 

結婚前・妊娠前は「ブライダルチェック」を!

皆さんは、「ブライダルチェック」という言葉を知っていますか?

かつてはお見合い結婚などの前に、必要があって仕方なく受けるものという印象があったようですが、近年では万全な体のコンディションで妊娠(妊活)に挑みたいということで、女性が積極的に受けるようになってきています。

事前にさまざまなリスクを知っておくことで、問題のあった部分を改善したり、日常生活で気をつけるべきことを前もって意識できるようになるため、どんどん活用していくべきでしょう。

ブライダルチェックは、広い意味では「プレコンセプションケア(Preconception Care)」のひとつ、とも言いかえることができます。

「コンセプション(Conception)」とは、受胎という意味であり、お腹の中に新たな命を授かることを言います。つまり、将来に向けて妊娠を意識しながら、カップルや夫婦が自らの健康や生活に向き合うことを指しているわけです。

結婚する以前や子作り前の段階で、しっかりと自分の体を見つめなおして、不安材料を無くしておくことが望ましいですね。

 

妊娠に影響する病気とは?

まずは、女性にとって重要な、妊娠前に確認しておきたい病気について、知っておきましょう。

クラミジア/若い女性が一番かかりやすい性感染症です。感染すると卵管に炎症が起きて、それが不妊や子宮外妊娠の原因になることもあります。妊娠中に感染すると流産・早産の原因になったり、分娩時に胎児に感染すると肺炎や髄膜炎などの重傷感染へとつながることも。

子宮頸がん/子宮頚部細胞診という、子宮の頸部から細胞を採取しそれを検査します。早期発見できるかどうかがカギで、進行してしまうと子宮を残せない場合もあります。

子宮内膜症/10人に1人の割合で子宮内膜症があると言われていて、進行すると癒着が起きてしまい、不妊の原因となりうるので注意が必要です。

子宮筋腫/子宮筋腫は、小さいものであれば症状もありませんし、妊娠への影響もほとんど問題ありません。しかし、5cmを超えると痛みが生じたり、早産や難産の可能性を引き起こしてしまします。

卵巣腫瘍/卵巣にできる腫瘍は、癌である場合はほとんどありません。ただし、腫瘍のサイズが大きくなると腹痛が起こる場合があります。妊娠中に発覚することが多いですが、妊娠中の治療はなかなか難しいものになります。

貧血/女性は貧血になりがちですが、妊娠すると胎児にも鉄分が取られますので、さらに貧血になりやすくなってしまうので、十分な注意が必要です。

糖尿病/糖尿病は若い女性はあまりかかりませんが、万が一糖尿病と知らないまま妊娠すると、胎児に奇形ができる可能性が上がってしまいます。女性は念のため調べておくと安心です。さらに、妊娠中の高血糖は、胎児が大きくなりすぎてしまい難産になることも。

風疹(ふうしん)/妊娠初期の段階で風疹にかかると、胎児に影響を及ぼす場合があります。それ以前に風疹にかかったことがあれば、再感染はありません。ワクチンを打てば回避できます。

トキソプラズマ症/トキソプラズマ症は、あまり広く知られていないのですが、思わぬところから感染する可能性がある病です。寄生虫のひとつで、たとえば生ハムやユッケ、レアステーキなどの生肉や、土いじり(ガーデニング)、猫の糞などから感染の確率があります。妊娠中に感染すると、胎盤から胎児に移って脳や目に障害を負わせてしまうことも。

 

予防接種で防げるリスク

風疹、麻疹(はしか)などは、母子感染を引き起こす可能性のある感染症ですが、麻疹風疹混合ワクチンの予防接種でそのリスクを防ぐことができます。

また、水ぼうそう(水疱)や、おたふく風邪(流行性耳外腺炎)にも、ワクチンがあります。子供の頃などに予防接種をすでにしていれば、体に抗体ができていることがほとんど。しかし、抗体が無かったり不十分だったりする可能性もありますので、検査はしておいた方が良いでしょう。

ワクチンを接種すると、2ヶ月間の避妊が必要となりますので、妊娠を考えている人は早めに予防接種しておくことが望ましいです。

抗体を持っている人が予防接種をもう一度受けても、特に問題はありませんので、検査なしで予防接種を受けてしまう方が早くて確実と言えるかもしれません。

ちなみに、妊娠前に母親が麻疹風疹混合ワクチンの予防接種を受けると、赤ちゃんにも抗体が移るため、生後しばらくは赤ちゃんの感染を防ぐことにもつながっています!

 

病院で受けられるさまざまな事前検査

健康診断

 

一般検査

尿検査、血液検査、血圧測定、心電図、胸部レントゲン撮影(X線)などを総合的に行います。婦人科の検診を受ける前に、まずこれらの内科検診を受けておくようにしましょう。

尿検査は腎臓・膀胱が正常かどうか、血液検査は貧血の有無などの他にも、さまざまな病気を発見できる可能性があります。

血圧測定で、妊娠高血圧症候群になる可能性の有無、心電図は心臓病の診断ができます。また、妊娠中は胎児のためにもX線検査を避けたいところ。これも、あらかじめ早い段階で済ませておくべきですね。

 

婦人科検診

子宮頸がん検診

子宮の頸部から細胞を採取する方法(子宮頸部細胞診)で行う検査です。発見が妊娠初期の場合は、経過を見ながらの出産になる可能性が高いですが、状況によっては手術を行うこともあります。

病院に行ってその場で行う場合と、あらかじめ検査キットを用いて自分で膣内の細胞を採取する方法とがあります。

 

乳がん検診

乳がんの検査については、医師による視診・触診の他、X線を使ったマンモグラフィー検査超音波検査などで行います。女性ホルモンの分泌が多くなる妊娠期は、ガンの進行が早まる恐れもあります。

そういった点からも、乳がんの可能性は妊娠前に無くしておくと安心です。

マンモグラフィーは、小さな段階でも発見しやすく、何度も検査を受ければ前回のレントゲン写真との比較がしやすいという利点があります。しかし、若い女性はガンと乳腺の区別がつきにくいという欠点があるので、超音波検査の方を推奨されることが多いです。

反対に、超音波検査(エコー)の場合は、X線による被爆の心配がなく、若い女性でもしこりを発見することができるという利点があります。また、検査結果を待たずして結果が分かるのも安心です。ただし、乳がんがまだ石灰化の段階(初期)であると発見が難しいということ、検査を行う医師の検査能力が重要になるという欠点もあります。

双方の利点と欠点を考えたうえで、自分に合った方法を選択していきましょう。

 

膣分泌物検査(おりもの検査)

膣分泌検査(通称「おりもの検査」)子宮頚管内・膣内の分泌物を、綿棒で採取する検査で、痛みも苦痛もありません。

トリコモナス、膣カンジダ(カンジダ症)、クラミジア感染症、淋病などを発見できます。性感染症の中には、まったく自覚症状がないものもありますから、できるだけ定期的に検査を受けることが推奨されています。

赤ちゃんへの影響はもちろんですが、パートナーのためにもしっかり確認しておくことが望ましいです。

 

内診・超音波検査

内診とは、医師が膣内の状態を直接診察すること。そして超音波検査とは、子宮や卵巣の状態を超音波を使って確認し、筋腫や内膜症・卵巣がんなどの疑いを調べる方法です。

デリケートな部分の検査になりますので、不安や恐怖も多いことでしょう。できるだけ安心して受診できる病院を見つけて、何らかのストレスがある場合は、医師にその旨を伝えておくようにしましょう。

もちろん検査をするには必要なことですが、きちんと患者に寄り添ってくれる医師であれば、少し気持ちを伝えておくだけでも配慮をしてくれる可能性が高いです。

 

トキソプラズマ抗体検査

あまり知られていないながらも、お腹の赤ちゃんに重篤な障害をもたらす可能性のある、トキソプラズマ症。

母子感染を防ぐためにもトキソプラズマ抗体検査によって、自分が今トキソプラズマ抗体を持っているかどうかを確認しておくことがひとつの方法です。

ただし、陰性が判明した場合であっても、妊娠中は加熱不十分な肉類を食べないこと土いじりなどを行わないように、気をつけなくてはいけません。

 

どこに行けば受けられる?

女性は産婦人科で可能

もちろん、健康診断でもおなじみの一般検査だけであれば、内科でも検査が可能です。しかし、婦人科検診の場合はやはり婦人科及び産婦人科に行きましょう。

病院のサイトや案内などに「ブライダルチェック」という言葉がなかった場合でも、自身の受けておきたい検査を行っている病院であれば、「ブライダルチェックとしてこの検査を受けたいのですが……」と問い合わせてみましょう。

中には、子宮がん検診は最近別の機会にやったから、それ以外で●●検査と××検査も追加してやっておきたい、ということもありますよね。まとまった検査のセット以外にも、個別に気になる内容をピックアップして検査を受けられることがほとんどなので、まずは確認してみるといいです。

まだ産婦人科にかかりつけがない場合は、この機会に良い病院を探してみるのも、いざというときに頼れる場所ができて安心にもつながりますね。

ちなみに、ブライダルチェックを取り扱っている産婦人科の病院であれば、夫婦での検査も可能な場合があります。

 

一部の検査は保健所でも匿名・無料で受けられる

HIV(AIDS)やクラミジア、梅毒、淋菌といった性感染症、またB型肝炎に関しては、保健所でも匿名・無料で検査が受けられます。

しかし、保健所の場合はすべての検査を一度に受けられないことや、一日の検査受け入れ人数や日時などに制限がある場合が多く、検査結果の確認も1~2週間後の指定日であるなどといった利便性のデメリットも。

自分の都合に合わせて希望の検査を受けたいと望むのであれば、病院やクリニックを利用することをおすすめします。

 

男性にも男性専門クリニックがある

男性にとってのブライダルチェックは、産婦人科もしくは泌尿器科で受けることができます。

また、男性の不妊治療や検査などを行っている専門の病院もあります。詳しく丁寧にチェックを行っておきたい場合は、より細やかな検査を受けることができる、そのような専門クリニックを利用すると安心ですね。

 

万全な状態で結婚と妊活に臨もう!

結婚前、そして妊娠前のブライダルチェック。それは、本人にとってはもちろんのこと、家族となるパートナーや、やがて生まれてくる子供のためにもとても大切なことです。

夫婦でよく話し合い、協力し合いながらさまざまな病のリスクを一つずつ確認して取り除いていけば、安心して結婚や妊娠を迎えることができます!

検査と言ってもさまざまな方法がありますし、自分にとって安心できる病院や、信頼のおける医師のところで、ぜひ受けてみるようにしてください。

病院を選ぶ際には、下調べも重要です。病院の評判などもよくチェックして、検査にかかる費用なども含めてしっかり検討していきましょう。

早めに行う準備は、安心につながるだけでなく、あなたの将来の幸せにも結びついています。この記事で、わずかでも皆様の知識が増えたならうれしく思います。