障害児について正しく知ろう!生まれる確率と原因・検査の基礎知識

生まれてくる大切な赤ちゃんは、できるだけ健康で、何不自由なく暮らしていけるようにしてあげたい……。

これから親になる人は、誰しもそう強く願っているはずです。

しかし、現実に生まれてきた子供が障害を持っているという可能性は、医療が発達してきている今なお存在しています。

生まれてきた子供に決して罪はなく、同じようにかけがえのない命であることに変わりはありません。しかし、子供が障害を抱えて生まれてくるということは、本人にとってもその家族にとっても、決して平坦な道のりではないと言えるでしょう。

どんな場合でも、その確率を「ゼロ」にすることはできません。

それでも防ぎたいのは、「知らないこと」による苦しみや不安です。まずは、障害児についてのさまざまな知識を持っておきましょう。

原因になりうる可能性やリスクを知っておき、お腹の赤ちゃんのためにもそれをできるだけ避けて通ってあげること。障害の種類検査の方法についても、きちんと理解しておくことで、さまざまな準備ができます。

この記事では、障害児について偏見のない豊富な知識を持っておくために、さまざまな情報をまとめていきます。

 

障害を持った子供が生まれる確率は?

あらゆる条件の妊婦さんから障害児が生まれる確率は、1000人に1人と言われています。

けれど「障害」とひとことで言っても、その形にはさまざまな種類があります。心疾患・脳性麻痺・視覚障害・聴覚障害をはじめ、知的障害児や肢体不自由児と多岐にわたるもの。

知的障害児の代表的な例で言うと「ダウン症」などが挙げられますが、それ以外にも「自閉症」など、「隠れ知的障害児」とも言われる学習障害・発達障害を持った子供もいます。

そのような障害を持って生まれてくる子供の確率というものは、一概にはっきり言えるものではありません。しかし、現在は晩婚化が進んでいることも相まって、高齢出産による障害児出生の確率が増加しているようです。

例えば「ダウン症」は、平均すると約700人~800人に1人の割合で、生まれてくる可能性があるそうです。ただし、この「確率」は出産の年齢によっても大きく左右されます。20代前半の出産は1200人に1人で、35代前半の出産は380人に1人……と、このように年齢が上がるほどに確率も増えていきます。

年齢だけでなく、体質生活環境などによっても、違いがあります。ですから、いたずらに「確率」の数字に怯え踊らされる前に、原因リスクについて知って、それをできる限り取り除いていくことが大切と言えるのではないでしょうか。

 

障害の原因になりうることは?

まずは、障害児出生の「原因」となりうることについて、知っておきましょう。

 

染色体異常

染色体異常は、その多くが「自然流産」になるとされています。染色体に異常が発生する確率は、例えば25歳なら476人に1人ですが、40歳なら66人に1人です。

高齢出産になると、流産の確率が高くなってしまうのは、こういった理由もあるわけです。

染色体異常を持ったまま生まれてきた子供は、発育上の障害があったり、精神発達の遅れがみられるなどのケースが多いです。特に、「ダウン症」である確率が高いと言われています。

 

高齢出産

高齢出産とは、35歳を過ぎてから出産を迎えることを指していて、母親の年齢が35歳を超えると、出産についてのリスクが増えると言われています。

不妊の確率も、20代の女性は数%であるのに対して、40代の女性の場合60%を超えるそうです。これは、生殖細胞が男女ともに年齢に応じて劣化していき、正常な細胞が減ってくることからと言われています。

高齢出産を乗り切るには、母体の健康状態はかなり重要です。流産、帝王切開、先天性異常、妊娠高血圧症候群など……母体にも大きなダメージを伴うリスクが生じてくるからです。

高齢出産に挑む方は、こまめな検査を行いながら自身の健康状態をより注視して、万全な状態で臨むことを心掛けましょう。

 

先天性障害の種類

どのような障害の種類があるの?

生まれてくる胎児の体や内臓のかたち、そしてそのはたらきになんらかの障害や疾患があることを、「先天性障害」「先天性異常」もしくは「染色体異常」などと言います。その障害、疾患にはさまざまな種類があります。

体のかたちにおける異常については「奇形」と言われており、外見ですぐにわかる「外表奇形」というものと、体の内側の内臓に現れる「内臓奇形」というものがあります。

また、形は正常であったとしても、その働きに異常がみられるような「先天代謝異常」という場合も、「先天性障害」に含まれます。

これらの障害については、出生時、もしくは1歳までの間に症状が明らかになることが多いです。しかし、外から見て気が付きにくい発達障害や学習障害のような場合は、赤ちゃんが成長して少しずつ社会生活を営むうちに判明するということも少なくありません。

 

ダウン症(21トリソミー)とは?

先天性障害の中でも、もっとも認知度が高いのは「ダウン症」なのではないでしょうか。

一般的に「ダウン症」と呼ばれている障害は、その正式な名称を「染色体疾患ダウン症候群(21トリソミー)」と言います。

先天性の心臓疾患や消化管の疾患を有していることがありますが、臨床管理と経過観察によって、早期治療も可能です。

比較的小柄であることが多く、筋肉の緊張の力が弱いために運動能力の発達に時間がかかる場合があります。また、知的発達については特に個人差が多く、言葉の発達はゆっくりとしたものです。

その子に合ったペースを大切に、適切な体操やリハビリを行いながら子供に寄り添って進んでいくことで、目覚ましい発達を引き出してあげることができます。

 

あらかじめ胎児の異常を調べる方法

もしも、あらかじめ胎児の状態を知り、障害の有無などを知りたいと望む場合は、どのような手段があるのでしょうか。

ここでご紹介する検査(出生前診断)は、総称して「胎児ドッグ」と呼ばれることもあります。それぞれの検査と、それに伴うリスクも含めてきちんと知っておきましょう。

 

新型出生前診断(NIPT)

妊娠10週以降に受けられる診断で、「母体血胎児染色体検査」とも呼ばれます。

「ダウン症候群(21トリソミ―)」「エドワーズ症候群(18トリソミ―)」「パトー症候群(13トリソミ―)」の、3種類の染色体異常の可能性が分かります。羊水検査と同じくらいの正確性があり、不必要な侵襲的検査(母体がダメージを負う確率を持っている検査)を避けることができます。

 

胎児超音波検査(初期・中期)

この検査は、初期は妊娠11~13週頃、中期は妊娠18週頃に行う超音波検査です。初期中期かに応じて、胎児の頭や脳の形状や、内臓・胎盤などを観察する方法です。

初期胎児超音波検査は約64~70%の確率、中期胎児超音波検査は約50~75%の確率で胎児の異常を推定できますが、いずれも「不確定検査」となります。そのため、精度を上げるために他の検査と組み合わせて行うこともあります。

 

母体血清マーカーテスト

妊娠15週以降あたりから行うことのできる検査で、母体から少量の血液を採取し、その血液中のタンパク質濃度を調べることで、胎児に染色体異常があるかどうかの確率をし知る「不確定検査」です。

「トリプルテスト」と、「クアトロテスト」の2種類があり、その違いは血液中の調べる物質が3つであるか4つであるかというだけです。もちろん、4つの物質を調べる「クアトロテスト」の方が、多少精度の高い内容になっています。

ただし、この方法もあくまで「不確定」なので、この検査で可能性が高いと診断された場合は、「確定検査」を受けない限りはっきりとした答えは出てきません。この検査で高い数値が出た場合であっても、生まれた赤ちゃんになんの異常も見られなかったということもあります。

 

羊水検査

妊娠15~16週を過ぎてから、子宮内の羊水に含まれている胎児の細胞を、母体の腹部に針を刺して採取するという検査方法です。ほぼ100%の割合で、胎児の染色体異常を検査することが可能です。

ただし、重要なのは流産や破水などのリスクも約0.3%程度存在するということです。

 

絨毛検査

妊娠11週を過ぎて受けることができる、母体の腹部に針を刺して、胎盤から絨毛という組織を採取するという検査方法です。

まずは不確定検査を行ってから、染色体異常が疑われる場合のみに行う確定検査で、ほぼ間違いなく胎児の染色体異常や遺伝子異常が判明します。

この検査にも流産や破水などのリスクがあり、その確率は約1%と言われています。羊水検査に比べると、早い週数でも検査ができるというメリットがあります。しかし、そもそもこの検査を受けることができる医療機関が少ないということは覚えておきましょう。

 

検査をする前に・・・

ご紹介してきた検査を受けるには、当然のことながら、決して少なくない費用がかかります。その時期や、受ける検査の種類などに至るまで、目の前にはさまざまなメリットデメリットを持った「選択肢」が存在しています。

大切なのは、すべてを母となる女性がひとりで抱え込むのではなく、父となる男性や周囲の支えてくれる家族と話し合い、相談しながら決めていくことです。

検査を受けるか否かだけではなく、その先のこともしっかりと心の準備をしておかなくてはなりません。

「もしも胎児の異常を指摘されたら、どうしたいと思っているのか」「生まれる赤ちゃんが障害児だと判明したら、どのように準備していくか」

いざ検査を受けてみて、その結果、精神的ダメージを負ってしまうという人も少なくありません。検査を受けるときは、先のことまでしっかりと考えておくことも大切です。

 

障害児出産のリスクを減らすためにできること

それぞれの方の環境や状況によって、すべての原因を完璧に取り除くことは難しいかもしれません。

しかし、「知っておく」ことで避けられるリスクについては、あらかじめできるだけ学んでおくとよいでしょう。続いては、リスクを減らすために心掛けるべきことを、ご紹介していきます。

 

葉酸など、栄養をバランスよく摂取

ダウン症発生のリスクを下げることができるというデータがある方法の中に、「葉酸の摂取」があります。

近年は野菜を食べる習慣が減ったことで、葉酸の摂取が不足していると言われていますが、この葉酸は染色体の異常を防ぐ働きを持つと言われています。アメリカやイギリスでは、葉酸摂取のすすめによって、先天性異常が約7割も減少したとされています。

どんな栄養も同じことが言えますが、妊娠中は特に、栄養をバランスよく摂ることが大切です。特に、野菜はビタミン類も多く含みますから、積極的に摂るようにするべきでしょう。

葉酸を理想的な分量摂取する工夫について、詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。

 

禁酒・禁煙の徹底

妊娠中のアルコール(飲酒)とたばこ(喫煙)が胎児に及ぼす影響は、とても無視できないものです。

アルコール(飲酒)のリスク

  • 子宮内胎児発育遅延
  • 子宮内胎児成長障害
  • 中枢神経障害(精神遅滞や多動症など)
  • 頭蓋顔面奇形(特異顔貌、小頭症など)
  • さまざまな奇形

これらは、「胎児性アルコール症候群」と呼ばれ、胎児の成長にさまざまな悪影響を及ぼし、流産や死産の可能性をも高めます。

母体のアルコール代謝能力などによっても、その影響度合いが異なりますから、お腹の赤ちゃんのためを思うなら、禁酒を徹底するべきでしょう。

たばこ(喫煙)のリスク

たばこの持つ害は、もはや周知の事実です。煙に含まれる有害物質は、200種類以上と言われており、胎児にとっては「被ばく」という表現が使われることもあります。

エコーを用いたとある実験結果では、母体がたばこの煙を吸い込んだとたん、胎内の赤ちゃんが苦しそうにもがき始めたそうです。

本人の禁煙はもちろんのこと、禁煙ムードが高まっている昨今ですが、まだまだ完全に受動喫煙から逃れることができるかと言えば、そうでもありません。妊娠したら、お腹の赤ちゃんのためにも、たばこの煙にさらされることのないように十分気をつけるようにしましょう。

 

薬は慎重に服用

胎児に服用した薬剤の影響がどのように及ぶかというのは、妊娠のどれくらいの時期に、なんの薬剤を服用したかによって異なってきます。

「薬は赤ちゃんによくないから!」と、自己判断だけで薬を中断してしまうと、かえって母体の環境が崩れ、赤ちゃんにも危険を及ぼすことにもなりかねません。

薬を服用するのにも、それなりの理由があることがほとんどですから、妊娠が発覚してからは特に、薬の服用について慎重に医師に相談することを心掛けましょう。

 

激しい運動を避ける

妊娠初期の段階は特に、まだまだ受精卵と子宮との繋がりが安定していない状態です。

全力で走ったり、飛んだり跳ねたりするなどお腹が上下に激しく揺れてしまうような動きは、流産につながる可能性もあります。さらに、接触や転倒の可能性が高いようなスポーツも、できる限り避けるべきです。

とは言っても、まったく運動をしないこともよくありません。静かな動きでできる、ストレッチやヨガ、ウォーキングなどといった適度な運動を心掛けてみましょう。

妊娠から出産には多くのエネルギーが必要ですし、赤ちゃんにしっかりと栄養を運んであげるためにも、血流をよくする程度の運動は日常生活で意識してみてください。

 

ストレス環境に身を置かない

ストレスが溜まると、体のバランスやリズムも崩れやすくなるものです。ストレスを感じた体は、緊張状態となって血流が悪くなります。

また、ストレスによって生じる「活性酸素」は卵子・胎児の発育に悪影響を及ぼします。

現代は、妊娠してもしばらくの間は、安静に仕事を続けるという女性が増えています。そのような場合、たとえ体は安静な状態であっても、心的なストレスを多く抱え続ける状況に身を置くことは避けるべきでしょう。

 

妊娠初期は特に、まだそこまでお腹も大きくなく、これまでと同じような生活をしてしまいがちかもしれません。しかし、お腹に赤ちゃんが宿ったら、無理は禁物です。

無理というのは、精神的にも、肉体的にもということ。お母さんがしっかりとお腹の赤ちゃんを守ってあげられるように、小さなことでもよくないと思われるリスクは除いていってあげましょう。

 

不安になりすぎないことが大切

「確実な方法」はなくとも、「できること」はある!

いかがでしたでしょうか?

これまで、障害児に関するさまざまな知識を、原因から検査方法リスク対策に至るまでご紹介してきました。

「障害児」と聞いて不安になり、思い悩んでしまう方もいらっしゃると思います。

もちろん、その可能性をゼロにすることは、現代医学では叶わないことです。しかし、不安を背負いすぎるあまりにお母さんが心や体の健康を崩してしまうことは、赤ちゃんにとっては一番つらいことです。

まだ見ぬ「可能性」の持つ不安や恐怖に押しつぶされることなく、「今できる精一杯のこと」を生まれてくる赤ちゃんにプレゼントしてあげませんか?

 

障害の有無を、必ずしも「不幸」と決めつけない

近年は、女性が社会に出て活躍し、ある程度仕事をしてから結婚・出産について考えるということが多い世の中です。それに伴って、晩婚化・高齢出産の確率も増えてきています。

できる限りの心掛けをもってしても、それでも障害を持った赤ちゃんが生まれてしまうことだってあります。

もし、障害を持った子供が生まれてきた場合も、それは必ずしも「苦しみ」や「絶望」だけに繋がっているとは限りません。

厚生労働省のアンケートで、興味深い結果がありました。ダウン症の障害を持っている方の約90%が、「しあわせを感じる」と答えているのだそうです。

ダウン症の子供の多くが、支援クラスと学校(あるいは特別支援学校)に通い、大人になってさまざまな仕事や芸術・スポーツの分野で活躍しているという方も。その子の幸せを大切に考え、興味を育んであげることが大切だと言えるのではないでしょうか。

笑顔で赤ちゃんを迎えてあげられる準備は、さまざまな形でできるものです。

妊娠をしたら、しっかりと子供のためにも正しい知識を持って、できるだけのことを心掛けて過ごしていきましょう!