妊娠の確率を上げる?排卵誘発剤『クロミッド』の効果と副作用を徹底調査!

 

不妊治療は、子供が欲しいけれどなかなか授からずに悩んでいる女性にとって、とても切実で身近なものです。

自然妊娠が難しいと判明した場合、可能性を探して試しながら、時にはつらさや苦しさと向き合わなくてはならないことも、たくさんあります。わずかでも希望があるならと、病院で医師から提案されたさまざまな治療法を、今まさに試しているという方も多いのではないでしょうか?

今回は、不妊治療に登場するひとつの手段である、排卵誘発剤『クロミッド』について――この薬の効果や仕組み、そして副作用や注意すべき点にいたるまでを、掘り下げていきましょう。

どんな手段を試すにしても、まずはその中身をしっかりと知ることが大切です。あらゆる不妊治療は、「受ける人の体に本当に合っているのか?」「無理なく続けていける治療法なのか?」といった点を、あらゆる方向から冷静に見つめてみる必要があります。

『クロミッド』に関する知識をまとめていきますので、まずはその情報を知って、その手段を試すかどうかしっかりと見極める参考にしてみてください!

 

排卵誘発剤『クロミッド』とは?

『クロミッド』とは、「クロミフェンクエン酸塩」もしくは「クエン酸クロミフェン」(※通称「クロミフェン」)という成分を摂取するために作られた、薬の名前です。

排卵が起こりにくい、もしくは起こっていない人に処方される薬で、「排卵障害に基づく不妊症の排卵誘発」を目的としています。不妊治療に使用される手段の中では、もっとも一般的に用いられている手段のひとつと言えるでしょう。

この薬は、アメリカで1961年に開発されたもので、日本でも1968年から実際に使われるようになり、実に40年以上の歴史を持っています。この薬を服用することで、排卵障害があって排卵をしにくい人であっても排卵率が上がるので、世界に広がり、長い間活用され続けています。

 

錠剤タイプで手軽な服用薬

なぜ、この『クロミッド』が、不妊治療で一般的になっているのかは、錠剤として服用ができるという点にあります。

病院に行って処置や投薬をしてもらうのと比較しても、わざわざ足を運ばなくても服用ができますし、1日1回で済むので飲み忘れてしまうという失敗も少ないです。

さらに、他の手段と比べて価格が安価ですから、数ある不妊治療の中でも比較的試しやすい方法だと言えるでしょう。

 

『クロミッド』と、その他の排卵誘発剤の違い

『クロミッド』の特徴としては、排卵促進の作用が穏やかであると言えることです。めまい・吐き気・むくみなどの症状が出やすい一般的な女性ホルモン剤に比べると、多少副作用が軽いと言われています。

その一方で、排卵率が高くなるとは言っても、それがそのまま妊娠率として確実に現れるというわけではないようです。その理由は、薬によって子宮内膜が薄くなったり、頚管粘液の分泌が減る場合があり、着床や受精がしにくい環境になってしまう……という欠点もあるからです。

それらは、『クロミッド』の服用を続けていて、生理(月経)が減る・排卵期のおりものが減るなどの症状として現れるようです。そんな症状が見られた場合は、早めに医師に相談するようにしましょう。場合によっては注射など、他の薬や手段に変更をするという判断になるかもしれません。

 

クロミッドの効果とは?

『クロミッド』は、女性ホルモンのバランスを整えてくれる働きがあり、具体的には卵巣を刺激することによって排卵が起こりやすくなるという効果があります。

ただし、卵巣を必要以上に刺激する形になってしまうと、「卵巣過剰刺激」の状態になり「多胎妊娠」――つまり、双子や三つ子などになる可能性が増えるともされています。

副作用については後ほど詳しく説明していきますので、まずはその効果の仕組みについてお話していきましょう。

 

どんな仕組みで効く薬なの?

『クロミッド』がどのような仕組みで効果を及ぼしているかについて、簡単に説明しておきましょう。

まず、妊娠するために必要な卵胞を育て、排卵させるのに必要なのは「卵胞刺激ホルモン」である「FSH」というものです。これは脳から分泌されていて、それをコントロールしているのが「エストロゲン」になります。

卵胞が育っていない状態では「エストロゲン」の分泌量がまだ少ないため、脳は「FSH」をたくさん分泌して卵胞を育てようと動きます。反対に「エストロゲン」が高くなると、「FSH」の分泌が少なくなります。

『クロミッド』はその「エストロゲン」が出すサインを妨げる拮抗作用があるため、脳は「卵胞をもっともっと成長させなければ!」と判断して「FSH」の分泌を増やしてくれます。

つまり、『クロミッド』が直接卵胞を育てるのではなく、その発育を促す「FSH」のを分泌を促すことで、結果的に卵胞を排卵に至るまで導いてくれるというわけです。

 

妊娠率はどれくらい上がるの?

無排卵症・排卵過少症の治療に広く処方され、無治療の場合の妊娠率が1.3〜4.2%であるのに対して、この「クロミフェン」という薬物を用いた場合の妊娠率は5.6%になったという臨床結果があります。

中には、この薬自体に効果が見られないという人もいます。薬は、体との相性がそれぞれにあるものですから、まずは医師からの提案で一度服用した際に、「どのような反応があるか」を注意深く観察するようにしましょう。

排卵があるかどうかはもちろん、副作用の有無も、服用を続けるべきか否かの重要な判断材料になります。

 

『クロミッド』服用のメリット・デメリット

メリット:卵胞を大きく育てて、排卵を促す

デメリット:子宮内膜を薄くし、おりものも減らしてしまう

メリットについては、これまで説明してきた通り、排卵の確率を上げてくれるというものです。

そして、デメリット面によって薄くなってしまった子宮内膜は、回復に時間を要します。しかし、服用を止めるよりも「hMG」などの注射による治療に切り替えて継続する方が、子宮内膜の回復も早いともされているようです。

 

クロミッドの飲み方

錠剤である『クロミッド』は、正式名称を「クロミッド錠50mg」といいます。まずは、その薬の服用方法やタイミングなどについて知っておきましょう。

服用方法とタイミング

通常の場合は、1日1回「クロミッド錠50mg」を1錠、月経開始日から数えて5日目から5日間、服用を続けます。これを1クールとして数え、第1クールで効果が見られなかった場合は段階的に増量し、1日2錠(100mg)を5日間、服用するようになります。

しかし増量も、この1日2錠・5日間が限度とされていますし、薬を増量するタイミングも、必ず医師の指示に従って行うようにしてください。この薬の製造業者は、6クールを超えて服用しないように、と推奨をしているようです。

『クロミッド』を導入してからは、排卵予想日(月経開始から9~18日の間)に性行為を頻繁に行うことが理想的です。

また、体の変化を注視するためにも、必ず基礎体温を毎日測って記録しておくようにしましょう。

 

どうして、月経開始日から数えて5日目から飲むの?

通常の生理の仕組みは、まず1日目の段階では小さな卵胞(卵巣にある、卵子を含んだ細胞)がいくつもある状態です。それらは生理5日目頃になると、そのうちの1つの卵胞だけが残って大きく育っていきます。

5日目から飲む理由は、そのいくつかあった卵胞が1つになった頃から投薬することで、いくつもの卵胞が大きく育って「多胎妊娠」という双子や三つ子のリスクを負わないようにする、という意味があるのです。

しかし、このタイミングには個人差もあります。それに、体外受精・人工授精を行う場合はできるだけ多くの卵胞を育てるために、あえて5日目よりも前に飲み始めることもあるようです。このように、『クロミッド』という薬は、育てる卵胞の数をある程度コントロールすることも可能なのです。

 

もし、飲み忘れてしまったら?

万が一、飲み忘れてしまった場合は、気づいたタイミングですぐに服用しましょう。

ただし、次に飲む時間が近すぎる場合は、次の服用を1回分飛ばすなどして臨機応変に対応してください。絶対に、指定されている量の2回分を同時に飲んではいけません

誤って多く飲んでしまった場合は、医師や薬剤師に相談してください。また反対に、自己判断で飲むのを止めてしまわないように気をつけましょう。

 

クロミッドの知っておきたい副作用

薬で心配になるのは、その副作用です。

『クロミッド』についても、その服用による副作用はさまざまなものがあります。ここでは『クロミッド』について、知られている副作用について整理していきますので、参考にしてみてください。

ただし、『クロミッド』の副作用は服用者に起こるもののみであり、その薬を使用して受胎した場合の胎児・新生児の異常や流産の確立については、通常の場合と変わらないとされています。

 

卵巣過剰刺激症候群

『クロミッド』を飲むことによって、10%以上の割合で卵巣過剰刺激症候群の副作用が起こるともされています。これは、卵巣がふくれ上がり、お腹や胸に水が溜まるといった症状の病気です。

これが悪化してしまうと、腎不全や血栓症などといったさまざまな合併症を引き起こす場合もあります。

 

目のかすみなどの視覚症状

また、1〜10%の割合で、視覚症状(霧視・複視・飛蚊症・羞明・暗点など)が引き起こされる場合があります。

このような症状が出た時も、一度きちんと医師に診察を依頼するようにしましょう。

 

頭痛・腹痛・胸の張り・吐き気(悪心)

クロミッドを服用している方の中では、頭痛や腹痛の症状を実感している方が少なくないようです。

また、胸が張るような感覚や、吐き気を催す場合もありますので、そういった体調の変化には十分に慎重になっておくべきです。

 

精神変調

体の変化だけではなく、人によってはホルモンバランスに影響が出る関係で、精神的に不安定になる場合もあるようです。

通常よりもイライラしやすくなったり、情緒不安定になりやすかったり。そういった形での副作用も考えられますので、それらの変化にも注意深くいるようにしてください。

不妊治療の間は特に、常にさまざまな情報や可能性に、一喜一憂しがちです。できる限り、焦りや不安に支配され過ぎないように心掛けるようにしましょう。

 

多胎妊娠(双子・三つ子)

「クロミフェン」は複数の卵胞を成長させ、排卵させるという可能性を高める効果があります。

そのため、双子(双生児)や多胎児(三つ子以上)を妊娠することがあると言われています。

 

その他の副作用

その他の副作用とみられる症状には、食欲不振・口渇・顔面紅潮・尿量増加・疲労感などがあるようです。

 

薬は、どんなものでも多かれ少なかれ「副作用」があるもの。難しいのは、その現れ方が人によって違い、重度なのか軽度なのかも一概に明言することはできないという点です。

副作用には、一般的に知られている、統計的に集められた情報があります。それらも頭に入れておきつつ、最も重要なのは、自分自身に起こる変化を見逃さないようにすることです。

 

クロミッドを利用する時の注意点

『クロミッド』の服用を実際に考える場合は、特に下記のような注意点をしっかりと押さえながら、不安や疑問・異常時はすぐに専門医に相談をするようにしてください。

服用できない人

  • 妊娠中、産婦
  • 子宮内膜癌、乳癌
  • 肝疾患、肝障害
  • 下垂体腫瘍
  • 頭蓋内の病変
  • 無排卵症以外の不妊症
  • 卵巣腫瘍、卵巣腫大
  • 甲状腺機能異常や副腎機能異常による無排卵
  • 子宮性無月経
  • エストロゲン依存性悪性腫瘍
  • その他(医師に確認しましょう)

 

生活上の注意

下記のような症状が確認できた場合は、すぐに担当の医師や薬剤師に相談するようにしましょう。

  • 目のかすみ(視覚症状)
  • 発疹
  • 精神変調(イライラなど)

 

また、下記のような症状が現れた場合は、一度服用を止めて、医師の診療を受けるようにしてください。

  • 腹痛
  • 不正出血
  • 下腹部の違和感
  • 吐き気

これらは、重大な副作用である「卵巣過剰刺激症候群」の初期症状である可能性がありますから、軽く見ないですぐに専門医にその症状を細かく伝える方がよいでしょう。

 

保管方法と使用上の注意

保管についての注意は、直射日光・高温・多湿の場所を避けるようにしましょう。

また、飲み忘れなどによって薬が残ってしまった場合は、保管しないで廃棄するようにしてください。

 

まとめ

どんな薬であっても、その望む作用を得るためには、望んでいない副作用を引き起こす可能性というリスクが存在します。

しかし、薬は体質に合うかどうかが非常に重要なポイントです。まずは医師としっかり相談したうえで治療法を選択し、その経過を自分で観察していくようにしましょう。

病院では医師の診察だけでなく、必要があればしっかりと検査を受けながら、その結果を見ていくことができます。その上で手段を変更していくこともできますし、まずは必要以上に怖がり過ぎることなく、「どんな手段があるのかを知る」ことが大切なのではないでしょうか。

あらゆる不妊治療の中で、なにが効くか、効かないかは、人によって異なります。

世の中にはさまざまな不妊治療があり、妊活中の女性は妊娠のために、さまざまな手法を調べては試していることでしょう。

この記事が、そんな皆様の助けになることを心から願っています。赤ちゃんを望むすべての女性が、できるだけ体と心への負担なく、尊い命を授かることができますように。